ようやく温かくなってきたなと思ったら、来週には桜が咲くかもしれないというニュースにびっくりしております。玄でも寒仕込みがやっと大分落ち着いてまいりました。

 新製品「柔肌熟成ぬか袋 穂(みのり)」を現在Makuakeサイトで先行販売しております。この穂(みのり)を製品化する上で最後まで悩み、探し続けたものそれが、糠を入れる袋の素材でした。

 試作の段階では晒(さらし)を用い、サイズ感や中身の糠の成分がお湯でもみほぐす時にちょうどよく染みだしてくれるかなど試しておりました。中身のしみ出し方は晒でも問題なく、ちょうどよい感じで、サイズ感は手で持った際に邪魔にならず、されど撫で磨きやすいように5mmずつ調整してジャストサイズに辿り着きました。ただ、最後まで私の中に残ったこだわりが“質感”でした…。

 「優しく撫で磨く」とお伝えしても「優しく」には個人差があり、晒では接触している感じが強すぎるなーと悶々としておりました。どうしても接触している感じがあると、それ以上を求めてしまいたくなるもので、「優しく撫で磨く」が「ゴシゴシこする」になってきたりするのです…。それでは逆に肌を痛めてしまう原因にもなるので、何かいいものはないだろうかと手芸店に行ってみては様々な布を触ってみたりと素材探しが始まりました。最近では落ち着いているのですが、私は春先花粉が飛び始めるとくしゃみではなく、咳き込むことがあり、その時に竹布(たけふ)のマスクを使用しておりました。昨年、横になると咳き込むことがあり、久しぶりに竹布のマスクのお世話になったのですが、その柔らかさに「あっ!これだ!!」と感じました。

 6月に山口県の藤野先生から「鍵山記念館3周年記念式典」にお招き頂きました。その鍵山記念館に竹布がお取り扱い商品として並んでいたのです。もう何とも言えないご縁の始まりです!中身の糠の試作が落ち着き製品化が目に見えるようになって来た時に、藤野先生から森田真生先生の講習会にお誘い頂きました。その折、藤野先生に新製品に竹布を使わせて頂きたいと願い出ると、一度竹布を製造されている「ナファ生活研究所」の方と直接お話した方がいいとアドバイス頂き、藤野先生から鍵山社長に、鍵山社長からナファ生活研究所の相田社長へとご縁を繋いで頂きました。

 直接お話をさせて頂く機会を頂いたことが嬉しく、子育て中の私は日帰りでも東京へ行ってくる!と新幹線に乗り込みました。その製造方法の細やかさ細部に至るこだわりなど素敵なお話をたくさん聞かせて頂き、「これを手の平に置いてごらん」と渡されたのが竹の繊維でした。手の平に置いた瞬間じんわりと温かくなり、びっくりしていると「あなたの熱ですよ」と微笑まれた相田社長のお顔と優しいお声は今でも忘れられません。私の製品に関しても親身にお話を聞いて下さりました。糠袋を使用後、中身を取り出し植木などに与える方もいらっるのですが、大半はそのまま廃棄される方が多いことを考えた上での素材をご提案頂いたのが、竹布の不織布でした。マスクのインナーシートとしても販売されているものです。
帰りの新幹線の中で、早く試作を作ってみたい!とワクワクが止められませんでした。

 次の日早速試作に取り組みました。一番心配だったのは、中身の糠の成分がうまくしみ出してくれるかどうかだったのですが、全く問題なし!そして、撫で始めると全く抵抗感がなく、自分でもそれ以上力を加えられないといった質感に驚きを隠せんでした。お手入れに来て下さった方にもお試しさせて頂いたのですが、撫でている私には滑らかに肌をすべっていくような感じがあり、撫でられている方はその素材の柔らかさにただ、ただ気持ちがいいと言って頂けました。「もう。これしかない!」と満足のいくぬか袋の素材に辿り着きました。

 きっと、この布に辿り着かなければ、製品化はまだ先のことになっていたと思います。たくさんの方々に繋いで頂いたご縁のおかげで、納得のいく形で製品化できたこと本当に心より感謝致します。竹布の不織布は天然繊維のため一つ一つ手縫いで皆様の元へ届けるべく、今仕上げておりますので、もうしばらくお手元に届くまでお待ちくださいませ。